2016年7月13日水曜日

【不思議な体験】僕は「プラネタリウム」がどうなっているのか気になってきました


72 : K[sage] 投稿日:2006/12/27(水) 18:42:02 ID:e/oZWy3uO [4/8回(携帯)]
 大学1年の秋、前日に1日かけて部屋を掃除し、僕は彼女(仮にR)の到着を待っていました。
 時間はちょうど正午。
きっかけは3日前、Rが「見せたいものがある」ということで、僕の家に来たいと言ったことです。
 Rの持ってくるものも気になりますが、僕にとってもっと重要だったのが、Rが家に来ることそのものでした。
どちらかがどちらかの家に行くのは、初めてでした。
などと考えてるうちにインターホンが鳴りました。
 Rでした。
 R「どうしたの?顔赤いよ?」
 緊張していたのは僕だけだったようです。

 Rはテーブルに大きめのダンボール箱を置きました。
そこには「The Planetarium」と書かれていました。
 R「プラネタリウムだって。駅前で売ってたんだよ?すごい並んでた」
 最後の1個だったそうです。
 Rは箱を開け、黒い球体を取り出しました。
よく見ると表面に無数の穴が開いています。
 中にライトがあり、穴から漏れ出る光が星空を作る仕組みなのでしょう。
 僕は部屋唯一の窓の雨戸を閉めました。
 元々薄暗い天気だったこともあり、完全に真っ暗になりました。
 Rはスイッチを入れました。


73 : K[sage] 投稿日:2006/12/27(水) 18:58:53 ID:e/oZWy3uO [5/8回(携帯)] 
真っ暗闇がとてもきれいな星空に変わりました。 
 僕たちは学校で聞いた程度の名前の星や星座を探したりしました。 

 携帯を見ると、午後2時半くらいでした。 
 闇に目も慣れてきました。 
 星探しも飽きてきた頃、僕は「プラネタリウム」がどうなっているのか気になってきました。 
この球体、電源スイッチはあっても電源コードも、電池を入れるところもありませんでした。 
ソーラーかとも思いましたが、それらしいものは一切ありませんでした。 
 僕は中を覗いてみることにしました。 
 穴が小さいので、ほとんど顔をくっつけるようにして、ようやく中を見ることができました。 
 僕「え!?」 
 信じられませんでした。 
 中には無数の小さな光、そして、中心に大きな光の塊が浮かんでいました。 
 宇宙みたいでした。 
 中心の光が少しずつ大きくなってきます。 
それと同時に、 
 体がフワッと浮くような、ジェットコースターに乗った時のような、そんな感覚を覚えました。 
 光が迫ってきました。 
いや、むしろ僕がその光に向かって「落ちて」いるようでした。 


76 : K[sage] 投稿日:2006/12/27(水) 19:18:52 ID:e/oZWy3uO [6/8回(携帯)] 
続きです 
「プラネタリウム」の中に入ってしまったのかと思いました。 
どんどん落下速度が上がってきて、ものすごい空気摩擦を感じて、とても息苦しかったのを覚えています。 
 僕は怖くなってきました。 
 落ちることへの恐怖と、光まで行ったらどうなるか分からないという恐怖です。 

ただひたすら落ちて、その光にかなり近付きました。 
もう大きすぎて視界に収まりません。 
 成す術なく落ちていると、光の中に何か黒い点が見えてきました。 
だんだん大きくなって、黒い穴だと分かりました。 
 穴に落ちてはいけない。 
 落ちたら終わりだ、と直感しました。 
でも自由落下している僕にはどうすることもできませんでした。 
どうしていいか分からず、めちゃくちゃに叫びました。 
そのうち、体が熱くなってきました。 
 摩擦で燃えているのだと分かりました。 
 喉が乾いて、熱くて、おかしくなりそうでした。 
そのうち、「ぎゃあああ」とか「うわぁぁぁ」とかいろんな悲鳴が聞こえてきました。まわりに僕以外にもたくさんの火達磨がありました。 


78 : K[sage] 投稿日:2006/12/27(水) 19:39:54 ID:e/oZWy3uO [7/8回(携帯)] 
顔が焦げて原形が無いもの。 
 腕とか足が無くなっているもの。 
どれもこれも、耳がおかしくなるくらい大きな声で叫んでいました。 
 唸ってるようにしか聞こえないのもありました。 
 僕もああなるのかと思うと怖くてたまりませんでした。 
 聞き覚えのある声が聞こえました。 
 Rの声でした。 
 僕の名前を呼んでいました。 
でも、僕に見える限り火達磨の中にRの姿はありませんでした。 

 「あああああああ!」という一際大きい悲鳴が聞こえたかと思うと、すぐその声は止みました。 
 穴が目前に迫っていました。 
 声が途絶えたのは、穴に吸い込まれたからだと思います。 
 火達磨がどんどん吸い込まれていきました。 
 穴の奥は全く見えませんでした。 
 Rの声が大きくなってきました。 
 穴に近付きすぎて視界は一面真っ暗です。 
 落ちたらどうなるか怖くて仕方ありませんでした。 
 自由落下から明らかに吸い込まれる感覚に変わりました。さらにスピードが上がり、熱くて、怖くて、何もできなくて、どうしようもありませんでした。 


83 : K[sage] 投稿日:2006/12/27(水) 19:59:30 ID:e/oZWy3uO [8/8回(携帯)] 
完全に中に落ちると思った時、思いっきり右頬を張られました。 

 僕は横ざまに倒れ、何かにガツンと頭をぶつけました。 
まわりが真っ暗なのでさっきの穴の中だと思いました。 
しかし、さっきまでの浮遊感や熱さや空気摩擦は感じませんでした。 
 代わりに何か地面を感じました。 
 突然明るくなりました。 
 電気の明かりでした。 
 間違いなく、僕は、僕の部屋にいました。 
 Rが青い顔で僕を見ていました。 
 「大丈夫?殴っちゃってごめん…」 
たしか、こんなことを言ってたと思います。 

 Rの話では、僕は「プラネタリウム」を覗いたら急に激しく震え、叫びだしたそうです。 
 大声で呼びかけても反応せず、窓もドアも開かず、電気もつかず、電話もどこにも繋がらなかったそうです。 
そのうち僕がだんだん熱くなってきて、パニックになって思わず僕を殴ってしまったそうです。 
 部屋の時計は午後3時を指していました。 
とりあえず換気しようと窓を開けました。 
 外は真っ暗…夜になっていました。 
 窓から見える公園の時計は8時を指していました。 
 「プラネタリウム」は僕が預かり、今も押し入れに押し込んだままです。 

0 件のコメント:

コメントを投稿